12日のドル円は上昇後に失速。欧州勢参入後、米国が提示したロシアとの30日間の停戦案をウクライナが支持する中でリスクセンチメントが改善し、上昇。米国の2月消費者物価指数(CPI)が市場予想よりも弱い結果となったことでドル安が瞬間的に進む場面も見られたが、一時149円10銭台まで値を上げた。ただし、その後は軟化。トランプ米大統領が発動させた鉄鋼・アルミニウム製品への25%追加関税について、欧州委員会が対抗措置を取ると表明したことに対し、同大統領が「もちろん対応する」と発言したことなどもあり、貿易戦争への警戒が重石となった。本日も台風の目はトランプ米大統領の発言になろう。昨日のドル円の上昇はこれまで積み上がっていた投機筋の円買いポジションも押し上げ圧力になったとみられ、3月上旬のドル安・円高基調に一服感も出た。ただ、ドル円を取り巻く周辺環境が変わったわけではない。関税合戦が深刻化していく様子が示されればリスク許容度が収縮し、再度円買い優勢になる可能性があるため注意したい。なお本日は、米国の生産者物価指数(PPI)や新規失業保険申請件数の発表の他、トランプ米大統領と北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長の会談が予定されている。(石川)
本日の予想レンジ:147.20‐149.50円