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Daily Market Report(日次)
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ソニーフィナンシャルグループ(株) Daily Market Report

issue date 2023年11月29日

ソニーフィナンシャル
グループ(株)
金融市場調査部

高まる「米早期利下げ開始」期待

為替

28日のドル円は続落。アジア市場中に軟化し、148円ちょうどを試すも、欧州市場序盤では一旦148円80銭前後まで切り返した。しかし、米国の利上げ局面が終了したとの見方が根強い中でドルの戻りは弱く、タカ派で知られる米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事が「インフレ率がさらに数か月低下し続ければ、政策金利を引き下げる根拠は十分にある」などと発言すると、米長期金利が低下し、ドル売りが活発化。本日早朝には147円割れを試す展開となった。ドル円は90日移動平均線を完全に割り込み、テクニカル面でも下方に圧力がかかりやすい状態。147円を割り込むと、次の下値目途は9月11日安値145円91銭付近か。本日の米国では7-9月期国内総生産(GDP)・改定値及びメスター・クリーブランド連銀総裁の講演、米地区連銀経済報告の発表が予定されており、これらが手掛かり材料視される可能性がある。ただし、ウォラーFRB理事の発言が長期的なものを見据えた仮定の発言であった点には注意したい。同理事は「政策が好位置にあるとの確信を強めている」とも発言しており、またこの日はボウマンFRB理事が「インフレ率低下が停滞した場合には利上げを支持する」とも述べている。タカ派で知られるメスター総裁の発言が市場の前のめりな利下げ早期化期待に沿わない場合、一旦90日移動平均線前後までの反発もあり得るだろう。要注意だ。このほか、本日はNZ中銀の金融政策発表(市場予想:据え置き)も予定されている。(石川)

本日の予想レンジ:145.90-148.00円

ドル円チャート(日足)
図表ドル円ひあしチャート
ドル円チャート
図表ドル円にっちゅうチャート
為替レート(NY市場引け値)
図表為替レート一覧

株式

28日の米国株式市場は小幅に上昇した。主要3指標とも上昇。原油高に加えて、ウォラー理事のハト派的発言がサポート材料になった(債券の項目参照)。一方、半導体大手の決算が悲観視されたことから、半導体株は低調な動きとなった。本日の本邦株式市場は米国株の動きを受けて上昇に向かうと期待される。ただ円高が上値を抑える可能性がある。(宮嶋)

日経平均株価
図表日経平均にっちゅうチャート
NYダウ
図表ニューヨークダウにっちゅうチャート

債券

28日の米債券市場は上昇。長期金利は4.3%台が続いた。この日の重要な材料となったのはタカ派と評されるウォラーFRB理事の発言。ウォラー理事は「今後あと数カ月(3~5カ月)で利下げができる可能性がある」と言及した。タカ派的であったウォラー理事が利下げ可能性に言及したことは大きなサプライズであり、またその時期が半年未満に近づいていることを明言した点も驚きだった。ウォラー理事は今後のインフレ率の低下に自信を深めているようであり、インフレ率の低下に伴う実質金利上昇圧力を和らげるために、名目金利の引き下げが可能になるとの考えを持っているようだ。また、ウォラー理事はPCEデフレータについては、コアではなく総合の方に言及しており、総合でみたインフレ率はより今後減速感が強まりやすいため、利下げが可能との論拠を示しやすいポイントと言えるだろう。いずれにせよ、ウォラー理事の発言を受けて、12月FOMCでの利上げ見送りは事実上宣言されたと言ってもいいのではないか。これを受けて、債券市場では金利低下の動きが強まった。本日の本邦債券市場は米国債の動きを受けて買い優先となるだろう。昨日日銀が公表した基調的なインフレ指標(加重平均値など)はまちまちな結果となり、早期のマイナス金利解除を促す材料にはならないだろう。本日の注目点は日銀の定例国債買い入れオペ額。ここ2週間連続で減額を実施しているため、減額が警戒される面もあるだろうが、現在の金利水準から鑑みれば、今週もまた減額を実施する必然性は低下したと筆者はみている。今回は据え置きとなるのではないか。(宮嶋)

各国国債利回り(%)
図表国債りまわり一覧
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