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Daily Market Report(日次)
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ソニーフィナンシャルグループ(株) Daily Market Report

issue date 2023年01月13日

ソニーフィナンシャル
グループ(株)
金融市場調査部

米CPI鈍化で金利低下・ドル急落

為替

12日のドル円は大きく下落した。この日発表された12月米消費者物価指数(CPI)は、前年比+6.5%と市場予想と一致。コア指数も+5.7%と市場予想と一致した。結果は予想通りだったが、総合指数が前月比で2年半ぶりにマイナスとなる中、米国の利上げペース鈍化への思惑が改めて強まると、為替市場ではドル売りが優勢に。ドル円は一時129円を割り込む水準まで急落した。その他の通貨に対してもドルは全面安となり、ユーロドルは1.0860ドル台、豪ドルは0.70ドル近辺まで上昇した。こうした中、米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、インフレの鈍化を受けて「より慎重な利上げが適切」との認識を示した。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、この先は25bpの利上げが適切になると発言している。米国の利上げペース鈍化への期待が高まる一方、昨日は日銀が次回会合で金融緩和の副作用を点検するとの報道から、円が買われる場面も見られた。日米の金融政策が逆方向に動き出す中、本日のドル円も上値の重い展開となりそうだ。もっとも、米雇用統計とCPIという重要イベントを消化した後であり、値幅は限られてきそうだ。(森本)

本日の予想レンジ:128.30-130.00円

ドル円チャート(日足)
図表ドル円ひあしチャート
ドル円チャート
図表ドル円にっちゅうチャート
為替レート(NY市場引け値)
図表為替レート一覧

株式

12日の米国株式市場は、主要3指標とも続伸となった。昨日公表された12月CPIの結果により、米インフレ圧力の減速傾向が強まってきたことがプラス材料となった(債券の項目参照)。VIX指数も20ポイントを切る水準まで大きく低下し、市場のリスクオンモードが強まっていることを示唆する。ただ、昨日の上昇幅はCPI減速という大きな追い風の割には思ったよりも小幅にとどまった。この要因は、新規失業保険申請件数の結果から労働市場の改善が市場予想を上回ったことだ。労働需給ひっ迫の強さは依然続いており、インフレ率が物価目標と整合的な水準に向けて減速しきるかどうか、株式市場ではまだ不確実性は大きいように映っているようだ。米CPI減速は、本日の本邦株式市場にも大きな追い風とはならないかもしれない。夜間の先物価格は下落傾向が続いており、本日の日経平均株価は下落が織り込まれる。為替レートが120円台まで円高が進んだことが逆風となっているほか、日銀の金融政策修正が来週実施されてYCCが撤廃されるとの見方も、投資家の慎重姿勢となっているのだろう。米国金融政策動向よりも日本の動向が材料視されている状況は、最近では珍しい状況であり、来週の日銀の金融政策決定会合の注目度は非常に高まっている。(宮嶋)

日経平均株価
図表日経平均にっちゅうチャート
NYダウ
図表ニューヨークダウにっちゅうチャート

債券

12日の米国債券市場は続伸。2年債・10年債利回りともに、12月CPIの結果を受けて下落傾向が続いた。CPIの主要ヘッドラインは、市場予想と同一の結果となり、予想通りの減速を示したことで市場の安心感が広がった。また、中身を見ても、財、サービス(家賃除く)の価格の減速基調がはっきりし始めたことを示している。家賃についても、クリーブランド連銀試算の新規契約者向け家賃指数は既に減速しており、今年後半には伸び率が落ち着いてくる公算が大きい。今回のCPI結果は、FRBの利上げペース鈍化に向けた道が開かれたことを示唆すると評価されよう。FF金利先物の織り込みを見ても、2月FOMCでの50bp利上げの織り込み度は9%(前日26%)まで低下し、2月の利上げ幅は25bpとなる見込みが強まったと言えよう。しかし、米金利先高観の低下は、本日の本邦債券市場にとって大きな追い風とはならないかもしれない。夜間の先物価格は下落基調が続いており、日本の金利上昇圧力は続く公算が大きい。昨日、一部報道で日本銀行が金融緩和による副作用を点検する観測が高まったことで、来週の決定会合でYCC解除を織り込む動きが出始めている。昨日は、連続指値オペ(5年超10年以下)の規模も3兆円に迫る規模となっており、大量の国債購入が市場機能を低下させる懸念は再び高まっている。(宮嶋)

各国国債利回り(%)
図表国債りまわり一覧
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