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Daily Market Report(日次)
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ソニーフィナンシャルグループ(株) Daily Market Report

issue date 2022年03月28日

ソニーフィナンシャル
グループ(株)
金融市場調査部

週明けは円売りが再開か

為替

25日のドル円は下落後反発。この日は日銀が長期金利抑制のために指値オペを通告するのではないかとの期待が高まっていたが、長期金利が2月に通告した際の水準を上回ったにもかかわらずこうした動きが見られなかったことから売りが優勢に。一時121円20銭近辺まで急速に値を下げた。日本の鈴木財務大臣が衆院財務金融委員会で「為替の急速な変動は望ましくない」と円安を牽制する姿勢を示したこともやや材料視された模様。もっとも、121円台では押し目買いの意欲も強く、米国時間には122円台を回復して週末を迎えた。週末に掛けては一旦和らいだ円安圧力だが、日米の金融政策の方向性が異なる状況は変わっておらず、引き続きドル円には上昇圧力が掛かりやすいだろう。テクニカル的にも2015年に上値を抑えた125円50銭台近辺以前に上値を抑えるポイントは見当たらない。本日のドル円も、堅調地合いが続くとみる。なお、ウクライナとロシアの代表団は28日からトルコで協議を行うと報じられている。停戦合意への期待から原油価格が下落すれば、円安圧力が和らぐ一方、これを好感してユーロ円などのクロス円が上昇すればやはり円売り要因となる。関連報道を受けた市場の反応には要注意だ。(森本)

本日の予想レンジ:121.80-122.80円

ドル円チャート(日足)
図表ドル円ひあしチャート
ドル円チャート
図表ドル円にっちゅうチャート
為替レート(NY市場引け値)
図表為替レート一覧

株式

25日の米国株式市場は、まちまち。ナスダックが2日ぶりの下落となった一方、ダウ平均とS&P500は2日連続の上昇。同日は、長期金利の上昇によってグロース株はほぼ横ばいとなった一方、バリュー株は上昇。一方、金利先高観の強まりから銀行株が上昇したことに加え、WTI原油先物価格の上昇を受けてエネルギー株も上昇。パウエル議長の景気後退確率は低いとの発言などからVIX指数が20ポイント近辺まで低下しており、株式市場ではやや楽観的なムードが漂っている。ただ、イールドスプレッド(株式益回り-長期金利)は低下傾向が強まっており、株価の割高感は高まっているとみられ、何らかのきっかけでいったん調整局面を迎える可能性には留意が必要だ。今週は、29日の3月コンファレンスボード消費者信頼感指数、1日の3月雇用統計、ISM製造業景況指数など重要指標が多いため注目したい。本日の本邦株式市場は、米株価の上昇や円安傾向が下支えとなり、上昇を予想。日経平均株価はこのところ上昇傾向が続いており、今週は上値が重くなる公算がある。今週は、米国の経済指標および金融政策動向、ウクライナ情勢に注目するのは当然ながら、1日の日銀短観から日本企業の景況感や2022年度の投資計画などにも注目したい。(宮嶋)

日経平均株価
図表日経平均にっちゅうチャート
NYダウ
図表ニューヨークダウにっちゅうチャート

債券

25日の米国債券市場は大幅下落。米10年物国債利回りは、前日差+10.13bpの2.4731%と2日連続の大幅上昇、2019年5月以来の高水準に。同日は、短期ゾーン中心に金利が上昇して長短金利スプレッドは縮小した。このところFRB要人から0.5%PTの利上げの必要性の言及が続いており、同日もNY連銀のウィリアムズ総裁がデータ次第では0.5%PTの利上げが適当と発言した。こうした発言を受けて、債券市場では短期的な利上げを織り込む動きが急速に進み、FF金利先物市場では12月会合までの6回の会合の中で、8回の利上げが織り込まれた。5月もしくは6月に0.5%PTの利上げを市場は想定している。FRB要人が急速な利上げを想定している背景には労働市場の不健全な需給ひっ迫がある。コロナ感染を契機とした早期退職などにより労働供給制約が長期化する様相の中、労働需給の過熱感を抑えるには内需を抑制して労働需要を低下させる必要があり、そのためには金融引き締め策の強化が求められる(詳細は拙著「米国のインフレ圧力の検証:コロナ感染収束だけでは解消しない公算」をご覧ください)。FRBは、景気をソフトランディングさせつつ労働需給のひっ迫による賃金(およびインフレ)圧力を低下させるという両立を図ろうとしている。実質金利でみた場合、長短金利スプレッドはまだ大幅プラスであり、政策金利引き上げによる景気の耐性はある程度強固といえる。とはいえ、当然市場では景気のオーバーキルへの懸念は高まるため、逆イールドが進む公算があろう。今週は、29日にJOLT求人数、1日に3月の雇用統計が公表されるため、労働需給のひっ迫度合いに注目することで、今後FRBがどの程度タカ派化するかを見極めたい。本日の本邦債券市場は、米債券市場の動向を受けて下落するとみられる。米国とは異なり、日本では金融政策の修正は短期的には見込まれず、今週発表の31日の日銀の4~6月期国債買入予定額が増額されるとの期待も一部にある中、金利上昇幅は限定的となるだろう。29日には注目の40年債入札が控えており、現状の金利水準からは需要の発現が期待されており、金利低下要因となる見込み。(宮嶋)

各国国債利回り(%)
図表国債りまわり一覧
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